となりの異文化
移民局の招集(市民講座)にいったときの話。
日本にいると学校で勉強するじゃないですか、こうなんかいろんな文化圏の格好した人が地球のまわりで手を繋いでいるようなイラストで、人種差別排斥、のようなものを。
でも実際日本にいると大和民族が大多数で、しかも日本にいる外国人の方は日本文化を知っている、馴染んでいる、興味があるという人が多い。だからね、異文化がお隣さんっていのうのを具体的に想像できていないんですよね。ていうか私はできてなかったです。
そう、イマージネーション。
それが一番大事。
語学学校の先生からきいたお話。先生の息子さんのクラスメイトにムスリムの子がいてラマダンをしている時期でした。おりしも真夏(ラマダンは毎年時期が変わる)、フランスも炎天下外で体育などがあります。
運動して汗をかいたあともラマダン中の子は水が飲めません。彼女は息子さんに、「ラマダン中のお友達のよこでこれ見よがしに水は飲まないようにね」と伝えたんだとか。
とっても優しいですよね。
子供にお友達に気を使ってあげてねって。
子供同士なのでこういうことを気遣ってあげるのはとてもよいことなのですが本来フランスはライシテといて政教分離を1792年に制定し、うんちゃらかんちゃら、それ以降教育機関でも宗教にそった教えはしないようにとなってます。
ただ、カソリックの祝日はたくさんあります。(これは私は単に休みを増やしたいだけのような気もするけど。。。)
ですからね、大人のわたしが考えてしまうと、
ルール上ですと彼が水を思いっきり飲む権利はありますよね。お友達は自身のルールにのっとってラマダンしているだけなので。
じゃ、じゃあ、
大人の場合はどうでしょうか。
OFII(移民局)から呼び出しをもらい市民講座に参加しました。なんと昼ごはん付き!大盤振る舞いじゃないですか、フランスでの手続きはお金なんか払ってばっかりなのに。笑
会場ではなく外のレストランに行きました。その時、今まで私と一言も喋っていないアラビア語グループから呼ばれました。市民講座はフランス語がわからない人のために定期的に英語通訳さん、アラビア語通訳さん、を招いているようで、私は英語通訳者がいるときに参加させてもらいました。レストランのテーブルはくっつけて長机のようになっていました。私はそれまで一緒におしゃべりをしていた英語グループにいたアメリカ人の女性、ベトナム人の女性と席につこうとしていたのですがなぜか隣にいたアラビア語グループから指名されました。
私に席を移れ、というのです。
わたしはえ?っときょとんとして突っ立っていたのですが市民講座の先生に「あなたの座りたい席に座っていいのよ(彼女たちの指示は聞かなくていいよ)」と言われてもともともと座ろうとしていたとこに着席しました。
先生から話を聞くとどうやらアラビア語グループの彼女たちは未婚で、ムスリムのルール上(?)男性の隣に座るのはよろしくない、ということだとか。なのでムスリムでない私(女)を彼女達とムスリムの男性の間にはさんで座ればあんばいがいいということだとか。
「彼女たちは自分たちのしたいようにするだけだから、あなたがそれを聞く必要はない!」と非難してました。
たしかにこれは
彼女たちのルールを遵守したいがために、他人の(私の)「自分の座りたい席に着く」という権利の侵害です。
日本人の私からすると、それじゃあ両方共がうまくいく方法を選べればよいよね、と思っちゃうのですが
あとから考えたらこの状況におちいったときに、彼女たちからは
「ムスリムの未婚の女性は・・・」と説明があったわけでもなく、
「なのでもし私が合意したなら席を移っていただけないか」とのお願いもなく、
ただ椅子を指さしていいからここに座って!と言われたんですよね。
しかももし私が間に座ったとしてもですよ、
私は彼女達のルールを守るためだけに座らされて、アラビア語もしゃべれんのですよ。
なんと失礼極まりないではないですか。
ただムスリム圏ではきっと当たり前のことなのでしょう。
ムスリム圏の人にとっては未婚の女性が男性の隣に座らないよう気を使ったりすることが常識、日常茶飯事、暗黙の了解。だから私に説明もしてくれなかったんだろうな、とは思うのです。
そしてそういう小競り合いみたいなのは日常レベルでちょこちょこおこっていると思うのです。そしてそれがフランス国内でムスリム圏の文化を理解できない、という人が多い理由なのではないかな。
「妥協と譲歩はお互いがする場合のもと成り立つけど、
一方的に私達の方から妥協と譲歩をしなければならないとなると、
権利侵害のナニモノでもない。
それにここはフランスだから、フランスのルールに従ってくれ!」
みたいな?
ただですね、あからさまに決めつけはよくない。
とくにムスリムのコミュニティはクローズドな印象をうけますし。
わたしの住んでいる地域では地元のお祭に参加していたりなど見たことはありません。ビーチにもいないし、登山してもいない。買い物をしている姿を見かけるくらい。子供が多い家庭が大半なので学校関係のつながりはありそうですが、誤解している部分も多いと思う。たった一度だけそのような機会があって、ムスリム全員が!なんていうのは間違っている。
移民局指定の語学学校には移民局からの指示があり通学しているムスリムの女性がたくさんいました。もちろん自ら志願して来ているひとも。なのでちょっとおしゃべりする良い機会となりました。
仕事を探しているので履歴書の書き方を教えてもらいに来たり 、という人も。
また高齢の方で先生が定期的にディクテーションの訓練をしているという女性は若い頃フランス語を勉強したかったけど夫の許可が降りなかった、今はなんでも自由にできて幸せっておっしゃっているかたも。。。
ラム酒がちょっと入っているお菓子も食べないの?と聞いたら、
「ちょとくらいならいいのよ~!お菓子だし!」
なんてご回答も。
日本人だから、フラン人だから、ムスリムだから、フランス国内だから、
とか関係なく。
日本人同士だってそうだけど、
ステレオタイプで決めつけて、目の前にいる人間の人格を否定するようなことは一番やってはいけないことだと思う。
知識をふりかざして眼の前にいる相手を否定するより、ちゃんと耳を傾けて接することが大事かな。
おしまい